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ベルギーその35(ブリュッセル編PART21)【準レギュラーがいっぱい出てくるタンタン18,19,20作】

Les escaliers

KENです。

前回は、タンタン10,13,14,15作を紹介しました。

今回は、18,19,20作を紹介します。

アイキャッチ画像は、ブリュッセルの小便小僧近くにあるタンタンの壁画

第18作「ビーカー教授事件(L’Affaire Tournesol)」

ペーパーバック版 ビーカー教授事件 (タンタンの冒険)

ハドック船長が住んでいるムーランサール城で、ガラスで出来ているコップや鏡等が割れる怪事件が発生します。

犯人は一緒に住んでいるビーカー教授の超音波研究のせいだと分かりますが、その研究と装置の設計図を狙ってボルドリア国のスパイが暗躍します。

ボルドリアってどこかで聞いたことがある国だと思ったら、第8作オトカル王の杖でシルダビア国から杖を盗んで政権を握ろうとしたムットラーがいた国です。

ムットラーのモデルは、ムッソリーニとヒトラーですが、ボルドリアの国はナチス・ドイツがモデルになっているようです。

タンタン達はボルドリアに行きますが、追っ手から隠れるためにオペラハウスに隠れます。そこで、カスタフィオーレ夫人と偶然出くわします。

タンタン達を追ってきた秘密警察長官スポンツ大佐がカスタフィオーレ夫人の大ファンで、ベラベラとビーカー教授の居場所や救出方法をしゃべってしまい、それを盗み聞きしていたタンタン達は無事ビーカー教授を救い出すことに成功します。

最後に、設計図のありかがムーランサール城に置きっぱなしだったというのは、タンタンでよくあるパターン。

この作品から、初めてカスタフィオーレ夫人が本編に絡んでくるのですが、既に顔なじみの設定になっていて変だなと思ったら、日本語版だと先に「カスタフィオーレ夫人の宝石」が出版されているからのようです。

ちなみにアイキャッチ画像は、今作の1コマを壁画にしたものです。

ボルドリアの首都ショホドにあるシュノール(ZSNORR)というホテルの非常口から脱出する時のワンシーンです。

第19作「紅海のサメ(Coke en stock)」

ペーパーバック版 紅海のサメ (タンタンの冒険)

今まで出てきた国やレギュラー・準レギュラーが総出演します。

特に準レギュラーが過去のどの作品に出ていたか調べ直すのが大変でした。話も複雑なので、途中を大分端折っています。

話の冒頭で、タンタン達は再びサンテオドロス共和国を追い出されたアルカサル将軍に出くわします。

アルカサル将軍は再度クーデターを起こすために、第5作「青い蓮」で出てきたドーソンから戦闘機を買います。

ドーソンにこっそりついていくと、ドーソンはアルカサル将軍とタピオカ政権の両方に戦闘機を売って、ぼろ儲けをしようと企んでいることが分かります。

加えて、「第15作燃える水の国」の話に出てきたケメド国の軍事クーデターにも加担していることが判明します。

悪党バブエルエルに戦闘機を貸して、タンタンの友達であるベン・カリシュ・エザブから政権をはく奪します。

タンタン達は、ベン・カリシュ・エザブに会いに行くために再びケメド国に向かい、商人オリベイラの力を借りてベン・カリシュ・エザブに会うことに成功します。

そこで、ゴルゴンゾラというメディア王にして死の商人が糸を引いていることを聞き、そいつがメッカにいるので、船で追うことになります。

船に乗っている途中戦闘機に撃沈されます。

こちらも戦闘機を撃墜するのですが、戦闘機のパイロットであるチェッを助けてしまうのはタンタンの良い所でもあり弱点でもあります。

それから、偶然にもゴルゴンゾラが乗っている豪華客船に発見されます。もちろん、ゴルゴンゾラはタンタン達を見殺しにする気でしたが、そこにはカスタフィオーレ夫人も偶然乗っていて、タンタン達を助けてくれます。

結局この後、タンタン達はゴルゴンゾラの息のかかった奴隷船に移されてしまうのですが、この奴隷船の船長が、第9作「金のはさみのカニ」でハドック船長をだまして阿片(アヘン)を運んでいたアランでした。

この後、奴隷船に乗っていた奴隷やチェッと協力してアランを追い出すのですが、さらに潜水艦「紅海のサメ」に襲われて船を撃沈されそうになるところをアメリカ海軍に助けられます。

最後に、ゴルゴンゾラの正体は第4作「ファラオの葉巻」と第5作「青い蓮」でタンタンを苦しめたラスタポプロスと分かるのですが、結局ラスタポプロスには逃げられてしまいます。

ただ、他の悪党は全て逮捕されました。最後に新聞1ページでまとめて結末が載っていたので若干構成力不足だった感もあります。新聞に載っていたことは、

アルカサル将軍の話は途中から全く出てこなかったのですが、この1ページで片付けるのはさすがにどうかと思いました。

第20作「タンタンチベットをゆく(Tintin au Tibet)」

ペーパーバック版 タンタンチベットをゆく (タンタンの冒険)

「紅海のサメ」とうってかわって、シンプルで分かりやすい話となります。

タンタンは新聞で、第5作「青い蓮」で助けた孤児チャン・チョンジェンが乗っていた飛行機がヒマラヤ山脈の高峰ゴサインタンに衝突して墜落してしまい、乗客が全員死亡の記事を見つけます。

タンタンは、チャンが生きている夢を見ます。

チャンは生きていると確信し、墜落した現場の近くのカトマンズへ向かいます。

そこで、ガイドのタルケと協力して飛行機の墜落現場まで行き、チャンが生きている証拠であるマフラーを見つけます。

その後、チベットの寺の僧侶である雷恵坊(ドゥクタラマ)のお告げによって無事チャンを見つけることに成功します。

実はチャンはUMAのイエティ(雪男)に助けられていたのです。

この話では、いくつか科学を超えた力が出てきます。

まず、タンタンが夢を見ただけでチャンが生きていると確信すること。まあ、これは勘と言い換えてもいいかもしれません。

もう一つが、雷恵坊にはサイコメトリー能力があって、チャンのマフラーを触ったときに宙に浮きながらチャンの居場所を言い当てます。これは、完全に超能力の範疇だと思います。

近代兵器や科学の話がある一方で、現代の科学では解明できないような話もたまにあるので、今の日本のマンガと比べても見劣りしません。

皆さんも一度タンタンを読んでみるのはいかがでしょうか?

余談

ちょっと気になったのが、ゴルゴンゾラことラスタポプロスがタンタン達をイギリスの記者と言っているシーンがありました。

マンガ当初は、ブリュッセルのラブラドル26番地に住んでいるベルギー人として描かれていましたが、途中から国籍をあいまいにしていったようです。

住所からブリュッセルが抜けてラブラドル26番地としか書かなくなりましたし。

次回は、タンタン紹介の最終回で第21,22,23,24を紹介します。

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