KENです。
前回は、駆け足でアンジェ城の歴史を少しだけ紹介してからヨハネの黙示録の回廊までダッシュしました。
今回は、実際に黙示録の回廊でタペストリーを観賞します。
しばらくアイキャッチ画像はタペストリーの中からお気に入りのものをチョイスしていきます。
アイキャッチ画像は、青ざめた馬と死(The Pale horse & Death)
黙示録の回廊(the Apocalypse Gallery)
見ての通り、照明や空調などがしっかりしていないとタペストリーの状態が保てないので、それなりの施設でないとダメなわけです。
照明は直接タペストリーに当たっていないし、空調がかなり効いていて涼しいというよりは肌寒いレベルです。
貴婦人と一角獣のタペストリーのあるクリュニー美術館もほぼ同じような作りになっており、暗くて涼しい環境になっていました。
薄暗い環境で思い出したのが、2017年に訪れたイギリスのオックスフォード大学の図書館です。
映画ハリーポッターに出てくるホグワーツ図書館の撮影に使われたハンフリー公爵図書館(Duke Humfrey’s medieval library)にある本がとても古いものなので、光が直接本に当たらないよう照明が床や天井に向けられていました。
社会科見学と思われる子供たちが何組か来ていましたが、羨ましいです。私が小学生の時に社会科見学てどこに行ったか覚えていないし・・・。
タペストリー後方は少し段差が出来ており椅子も置いてあるので、混んでいても後ろの方でノンビリ見ることが出来るようになっています。
撮影はOKですが、フラッシュは絶対ダメです!
「ヨハネの黙示録(Tenture de l’Apocalypse)」タペストリー基本情報
このタペストリーは100m級の最古のタペストリーです。アンジュー公の注文で1375年に宮廷画家ジャン・ド・ブリュージュが下絵を手がけました。
タペストリーは、元の下絵を描いた後にそれをタペストリー用に拡大していくといった工程を踏んで行きます。ですので、単に絵がウマイだけではダメで、拡大するとどうしても元の下絵とはズレが生じるので、ズレを計算して下絵を描かないといけないわけです。
と、貴婦人と一角獣のタペストリーの記事を書いたときに勉強しました。( ̄ー ̄)ニヤリ
タペストリーは1480年最後のアンジュー公ルネ王によってアンジェ城に寄贈されます。その後は時代遅れとされて、確か近くにあるサン・モーリス大聖堂に設置されます。
19世紀になると再度評価されることとなり再び城に設置されることとなり今に至ります。
タペストリーは6つの章に分かれており、1枚目は必ず語り部である縦長の老人のタペストリーから始まり7枚×2段で構成されています。
つまり1章15枚×6章で90枚で構成されていますが、現存するのが77枚です。77枚のうちのいくつかも一部が切り取られてしまっているものがあります。
サン・モーリス大聖堂に移されたときに、タペストリーが大きすぎるということでサイズが合うよう切り取られてしまったそうです。
さらに、タペストリーはマットやテーブルクロスとして使われたり、材料不足の時には金糸の金だけ抜き取られてしまったりと、絵画に比べると残っているものが圧倒的に少ないんです。
タペストリーの内容は、新約聖書の最終章である黙示録「ヨハネが受けたキリストの掲示」をモチーフに描かれてはいるのですが、当時の背景である百年戦争・飢餓・ペストや歴史上の人物なども盛り込まれているので、全く聖書と同じというわけでもないようです。
タペストリー見学開始
今回は6章のうちの第1章を解説します。
私は宗教に詳しいわけではありませんので、分かりやすいようかなり意訳している部分がありますのでご了承下さい。間違っていたらご指摘をお願いいたします。
章の初めは毎回この老人の縦長のタペストリーから始まります。
てっきりキリストか聖人の誰かかとおもったらただの「語り部(reader)」だそうです。
このタペストリーは人生における生と死または美徳と悪の象徴らしいです。ムズカシイ
7つの教会(The Seven Churches)
聖ジョンが西中央アジアを示しており、この7つは包括的な象徴となっています。
天使がそれぞれ教会に触れていますが、これはキリスト教信者の信頼を示しています。
聖ジョンて誰だ?
キリストと剣(The Crist & Sword)
キリストの持っている剣は真実の象徴で、7つの星はこれから起こる7つの厄災の封印を示しています。
キリストの足をスリスリしているこのご老人は先程出てきた聖ジョンでキリストを崇拝しています。
だから、聖ジョン誰よ?
聖ジョン=預言者ヨハネ
よく考えたらヨハネの黙示録のタペストリーでした。
元々は、ヘブライ語のヨハナーンから来ているそうです。英語ではジョン(Joan)でフランス語だとジャン(Jean)なんです。私は英語でタペストリーのことを調べていたのでジョンと先程から呼んでいたわけです。ここからはヨハネと呼びます(;^ω^)
余談ですが、ジャンの女性系がジャンヌです。
神その栄光(The God in his glory)
回りの老人は無視して、神を囲む4匹の獣に注目
この四体はキリストの12人の使徒のうちの四人を指していて、右上のイーグル(鷲)がヨハネです。
ちなみに、ライオンがマルコ、牛がルカ、人間(天使)がマタイです。4匹の獣はこれからも度々出てきます。この4人は四福音書記者と呼ばれています。
殺害された羊(The Slain Lamb)
1つ前のタペストリーと構図が似ていますよね。
これは簡単で、羊=キリストです。
キリストて元は羊飼いですし。人の罪を背負って犠牲になっているわけです。
分かりやすかった!
青ざめた馬と死(The Pale horse & Death)
個人的にはこの章の1番のお気に入りです。
単純に死と地獄を象徴したタペストリーとなっています。
ドクロの顔が不気味でした。
感想
7つの星と言えば「お前はもう死んでいる」の北斗の拳をつい思い出してしまいます。
胸に7つの傷を持つ男ケンシロウのお話です。主題歌の「愛をとりもどせ」は名曲です。
you は shock、ジョンもshock
あと、タペストリーの製作工程については小説「貴婦人と一角獣(the LADY and the Unicorn)」を読むと深く勉強できるのでオススメです。ただし、主人公の絵師と女性のムフフなシーンが多いので、そのようなシーンが苦手な方はやめたほうが良いかもしれません。
次回は2章以降を解説します。
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