KENです。
前回までは、2015年夏のベルギー旅行編(ブリュッセル,ブリュージュ)をお届けしました。
今回からは、パリへ向かう前の休憩ということで、タンタン全24作品を紹介します。
アイキャッチ画像は、ベルギー漫画センターにあるタンタンの彫像
まず初めに、オリジナル版と日本語版では出版の順番が違います。
私はオリジナル準拠の順番で説明します。
※ネタバレを含むのでご注意ください
第1作「タンタン ソビエトへ(Tintin au pays des Soviets)」
幻の作品として、日本では刊行に時間がかかりました。
というのも、内容が色々と微妙だったからかもしれません。
旧ソ連とKGBの前身であるGPUという秘密警察が、ベルリンとソビエトで暗躍する話で、正義の味方のタンタンが悪者を倒すみたいな公平性に欠けた勧善懲悪な物語だからです。
冒頭部分から、爆弾で汽車が爆発してもタンタンたちだけ生き残ったり、汽車に車ごと引かれても死なないなど、現実味に欠けています。他にも、
- 共産主義に反するものは手を挙げろ、ただし挙げた者は銃殺
- 穀物を渡さないものは銃殺
- 民衆から巻き上げた金品や食物を隠す地下室を作る
とにかく旧ソ連が一方的に悪く描かれています。
さらに、地下室には拷問部屋があり、拷問担当が何故か中国人という荒唐無稽さです。
加えて、1作目だけあってタンタンの性格がまだ決まっておらず、メチャクチャ暴力的です。
喧嘩で相手をフルボッコにしたり、拷問部屋で中国人に熱い鉄の棒で拷問に近いことをしたりします。
話を追うごとに、タンタンは穏やかな性格に変化していきますけどね・・・
スノーウィは、若干ワイルドなヒゲ面っぽくて、クレヨンしんちゃんの父ちゃんである野原ひろしにちょっと似ています。
野原家の犬シロとは似ても似つきません、だってカワイクないもの。
話の展開としては、
- GPUに捕まる
- スノーウィと協力して逃げる
- 乗り物が壊れる、直す
の繰り返しです。話は、荒削りでしたがスピード感があって面白かったです。
最後は、ブリュッセル北駅からグランプラスへ戻って、民衆から爆破予告を止めた英雄として迎えられて終わります。
第2作「タンタンのコンゴ探険(Tintin au Congo)」
この作品はもっと問題作です!
タンタン達がコンゴへ取材に行って、部族の問題を解決したり、ここで採れるダイヤモンドを独占しようとするシカゴのマフィアを捕らえたりします。
マフィアのボスは今回名前しか出て来ませんが、実在した有名なマフィアxxxなのです。
これだけ聞くといつもの冒険です。
しかし、話の大半がアニマルハントです!
猿、鹿、ゾウ等の様々な動物に銃をぶっぱなします!
今のご時世ではどこから文句が来るか分かりません。
ワシントン条約って知ってる?
さらに凄いのが、
フランス語のオリジナル版だと、サイをダイナマイトで吹き飛ばします!!!
英語版や日本語版では修正が入って、サイは殺されずにすみました。
この作品でもまだまだタンタンは野蛮です。とにかくライフルを撃ちまくっていました。
第3作「タンタン アメリカへ(Tintin en Amérique)」
話としてはコンゴの続編になります。さらにネタバレなので要注意
タンタン達はアメリカのシカゴへ行きます。
前回シカゴマフィアの逮捕に協力しましたが、今回はシカゴ中のマフィアを相手にします。
いくつかのマフィア組織が徐々に立場を悪くしていくと、最終的にマフィア同盟が結成されてタンタンをシカゴから追い出そうとするというヒーローものの展開は面白かったです。
マフィアの一人として、実在したマフィアのアルカポネ(Al Capone)が出て来ます。知っていることといえば、
- 殺人や麻薬の販売等では捕まったことがなく、軽犯罪の脱税で一度捕まった
- 脱税容疑の時、陪審員を買収しようとしたが失敗し懲役を食らう
- 愛称はスカーフェイス(顔に傷痕がある)
海外ドラマ「CSI:マイアミ」にて、
殺人で捜査令状取れないから、窃盗とかの軽い罪で令状を取ってから、釈放される前に家宅捜査で殺人の凶器見つければええんや・・・アルカポネの脱税みたいに
みたいな比喩表現が出たので覚えてしまいました。
スカーフェイスについてはあまり詳しくはないですが、マンガ鋼の錬金術師でスカーてキャラがいたので、そこから覚えたのだと思います。
それはさておき、アルカポネは一度タンタンに捕まってからそのあとどうなったかが描かれていないのですが、結局組織は壊滅してしまいます。
こんなこと書いて、作者エルジェは大丈夫なのかと思ったら、本が出版された1931年にアルカポネは脱税で捕まりました。
アルカポネの件は良かったですが、この作品もやはり問題があって、アメリカに対する考え方が一方的です。
話の途中で、マフィアの一人がインディアンをそそのかして、タンタンを捕らえようとするのですが、タンタンがマフィアから逃げるためにある洞窟に隠れているとそこから石油が吹き出します。
そのあとすぐに、石油会社がタンタンに高値買い取りを要求するのですが、ここはインディアンの土地だから彼らから買ってくれと答えます。
すると、石油会社はインディアンから石油を超安値で買い叩き、インディアンを追い出し1日で都会を作ってしまうという本編と関係ない謎の展開がおきます。
このあとも、壊れたアメ車やコカ・コーラのロゴが入った銅像など恐らくアメリカの資本主義に対する批判が描かれたのだと思います。
といったように、初期の3作品は色々と問題があったので、日本では出版の順番がかなり後回しにされたようです。
余談ですが、コカ・コーラは世界各地で微妙に味が違っていて、1番おいしいのはメキシコというのを聞いたことがあります。
私はコカ・コーラ(米国)の株主なのでちょっとコカ・コーラには詳しいですよ。
米国の投資に興味ある方は、私のプロフィールに少し書いてあるので参照ください。
次回は、4~8作を紹介します。
関連商品・・・これからも変わらず配当の増配をお願いいたします。