ベルギーその33(ブリュッセル編PART19)【徐々に子供向けになってくるタンタン4-8作】

Fétiche Arumbaya

KENです。

前回は、色々と問題があったタンタン第1~3作を紹介しました。

今回は、第4~8作を紹介します。

アイキャッチ画像は、第6作「かけた耳(L’Oreille cassee)」の重要アイテム「アルンバヤ族の呪物」

ベルギー漫画センターに売られています。

※やはり、ネタバレを含むのでご注意ください

 

第4作「ファラオの葉巻(Les Cigares du pharaon)」

ペーパーバック版 ファラオの葉巻 (タンタンの冒険)

葉巻ってタイトルの時点で、密輸かなと思いました。

海外の犯罪捜査ドラマを見ていると、キューバ産のタバコはおいしいけど、輸入禁止だから密輸品が多いみたいな話が必ず出て来ます。

ただ、タンタンの場合はもっとスケールがでかかったです。

船で知り合ったフィレモン教授と共にまだ発掘されていないファラオの墓がエジプトの首都カイロにあるので、発掘に向かいます。

中には、ここを発掘に来た学者がツタンカーメンの棺みたいなものに入れられてミイラにされていました。

さらに、そこに置いてある葉巻にはアヘンが詰まっており、この墓は麻薬組織の基地だということがわかるのですが、タンタンは捕まってしまいます。

その後、船を脱出して別の船に助けられてから、アラビア半島で映画監督のラスタポプロスと出会います。(こいつが超重要人物!)

ヤベッカという国でまたアヘンの葉巻を見つけるのですが、スパイ容疑で逮捕されてしまいます。

ここで、インターポールの刑事であるデュボンとデュボンに助けられます。

この2人は味方のレギュラーキャラとしてこの後ちょくちょく出てきます。

そのあとは、インドにあるガイパジャマ国で葉巻(=アヘン)が広がるのを防ぐために国の王子と協力して麻薬組織を壊滅させます。

ただ、最後組織のボス誰かが分からずじまいのまま崖から転落し生死不明でこの作品は終わります。

余談

クタール=ブンディ・ダガー(Bundi dagger)という武器が飾ってある家がありました。

以前ロンドンのウォレスコレクションにあったダガーと同じものだと思います。詳しくはコチラを参照ください。

 

 

あと、ラッパを吹いたドレミの音階で象と会話をするってシーンがあったのですが、本当に会話ができるのかが気になりました。

第5作「青い蓮(Le Lotus bleu)」

ペーパーバック版 青い蓮 (タンタンの冒険)

ファラオの葉巻の続編になります。舞台は上海です。

前回、生死不明のままだった麻薬組織のボスがついに判明します。

前回登場していた映画監督のラスタポプロスが上海に何故か滞在していたりと怪しいなと思っていたらやはりボスはこいつでしたw

今作は、日本人には結構辛い話になっています。

犯人の一人ミツヒラト(日本人!)がアヘンを中国に蔓延させようと麻薬組織のボスと結託したり、上海の鉄道を中国の仕業に見せかけて爆破をし日本軍の中国介入の口実を作ったりします。

逆に、タンタンは川で溺れていた中国人の孤児チャン・チョンジェンや小龍会というアヘン撲滅の為に戦う組織の一員であるワン・チェンイー達と協力して、ミツヒラトとラスタポプロスを倒します。

歴史は得意ではないですが、満州事変をもとに描いているようです。

この作品あたりから歴史を丁寧かつ独自に解釈して話を展開させてきている気がしました。

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第6作「かけた耳(L’Oreille cassee)」

ペーパーバック版 かけた耳 (タンタンの冒険)

博物館から「アルンバヤ族の呪物」が盗まれるのですが、この像は何か重要なものが隠されているということで物語が進みます。

南アメリカのサンテオドロス共和国首都ラスドピコスという架空の国を舞台に、

  • 国内の独裁政権を率いるタピオカ将軍と革命派のアルカサル将軍の対立
  • 隣国同士の革命戦争とそこで儲けようとする石油会社の利権争い

とにかく内容が難しいので、話がつかみにくかったです。

最終的には木彫りの像のありかがどこにあるのかに話が戻るのですが、実は石像は博物館に置きっぱなしでした。レッドラッカムの宝のオチと少し似ています。

マンガのラストで、敵の2人組が海へ落ちるのですが、悪魔に連れられていくというコマになっているのが印象的でした。イコール死を意味するのだと思います。

第7作「黒い島の秘密(L’Ile Noire)」

ペーパーバック版 黒い島のひみつ (タンタンの冒険)

今まで、読んだ中でも1番話がシンプルです。敵組織は1つだし犯人も少ないからです。

日本語版では、この作品が1作目になっていますが、この判断は正しかったと思います。

話は、タンタン達が散歩をしていたらプロペラ機が墜落して、様子を見に行ったら撃ち殺されそうになるところから始まります。

途中ドーバー海峡を渡って、イギリスのサセックス州にあるイーストダウンというところまで行こうとします。

そこから敵に崖の上に連れられて落とされそうになるシーンがありますが、これは恐らくセブンシスターズという有名な崖だと思われます。

イギリス旅行に行った時に立ち寄ったのでこちらを参照ください。

 

 

そのあと、プロペラ機でスコットランドまで行って、タイトルの黒い島までボートで渡って、敵組織を壊滅させます。

スコットランドに着いたときに、タンタンがタータンチェックの半ズボンに履き替えたので少しウケました。

あと、この作品でスノーウィの酒好きが発覚します。

酒を積んだ貨物車で泥酔するシーンがあります。スノーウィは年齢がよく分からないのですが、結構大人なのでお酒もOK?

第8作「オトカル王の杖(Le Sceptre d’Ottokar)」

ペーパーバック版 オトカル王の杖 (タンタンの冒険)

タンタンのストーリーよりも、舞台となったシルダビア国の歴史が凄く詳しく説明がされていました。

要約すると、

  • シルダビアはかつて隣国のボルドリアに占領されていた
  • オトカル1世が国を取り返す
  • オトカル4世に王位をよこせと言ってきたある貴族と対決をするが、オトカルの杖で相手を一撃で叩きのめした逸話がある

逸話にちなんで、祝祭の日に杖を持っていない王様は王位を退かなければならないという風習が出来ます。

隣国ボルドリアがムットラーとその組織と結託をして、杖を盗んで王様を失脚させようと画策しますが、それをタンタンが阻止する話となっています。

明らかに、どこかの国を参考にしている気がしましたが、どうやらユーゴスラビアのようです。あとムットラーてムッソリーニとヒトラーを足して2で割ってますね。

あと、スノーウィが今作では食い意地をはるようになってきて、ドクロのマークの骨に過剰反応したり、博物館に展示されている恐竜の骨を盗んだりします。

★★★

9作の金のはさみのカニはこちらを参照ください。

 

 

次回は、第10,13,14,15作を紹介します。