KENです。
前回は、タンタン第18~20作を紹介しました。
今回は、最後の第21~24作を紹介してまとめの感想を述べます。
アイキャッチ画像は、フランスのシュベルニー城にある展示ムーランサールの秘密にて
第21作「カスタフィオーレ夫人の宝石(Les Bijoux de la Castafiore)」
タイトルからして宝石が盗まれる話だろうとは見当が付きます。
ミラノの歌手カスタフィオーレ夫人がムーランサール城にやってくるのですが、容疑者が無数に出てきます。
- カスタフィオーレの召使い
- 専属のピアニスト
- ハドック船長が連れてきたジプシー
- 謎の組織の一味と思われるカメラマン
など怪しい人物が沢山出てきます。
物語の中盤で、インドの王様(マハラジャ)から貰ったエメラルドが盗まれるのですが、犯人はxxxだったというどんでん返しで、今までとは一風変わった結末で面白かったです。
余談
今まで、ムーランサール城がどこにあるか言及されていなかったはずですが、ベルギーのゲント(Gent)にあると書いてありました。ブリュッセルからは電車で1時間弱です。
また、本編と関係ないところでムーランサール城の階段の石が欠けているのでブリュ石材店に修理を頼むがちっとも石材屋さんが来ないシーンがあります。
案の定、ハドック船長がムーランサール城の階段からすっ転ぶのですが、このネタに合わせてベルギー漫画センター(Centre belge de la Bande dessinée)もこのシーンが再現されていました。
階段もわざと削られています。階段は、入場口でお金を払ったすぐのあたりの階段にありますので、階段で滑らないようにして見てください。
第22作シドニー行き714便(Vol 714 pour Sydney)
タイトルの通り飛行機にのるお話です。もちろん、無事に飛んでくれるはずはありませんでした。
本作品で、宿敵ラスタポプロスとの最後の対決が描かれます。
シドニー行きの飛行機で、タンタン達と同席した大富豪カレイダスを誘拐するためのハイジャック事件が発生します。
飛行機はある島に到着するのですが、そこには宿敵ラスタポプロスと部下のアランがいました。
ラスタポプロスから逃げるために古代遺跡に逃げるのですが、ここで突然新キャラクターのエズダニトフという科学者が現れます。
エズダニトフによると、どうやらこの遺跡は宇宙人が作ったとされる遺跡で・・・。
むむっ?どこかで聞いたような・・・
インディジョーンズ/クリスタルスカルの帝国と同じ展開じゃね?
思った通りで、結末がかなり似ていました。
はっきり言って、タンタン作品の中で一番つまらなかったです。
エズダニトフの登場が唐突すぎるし、宿敵ラスタポプロスは宇宙人に連れていかれてしまいます。
これまでのラスタポプロスとの戦いはなんだったんだと思ってしまうぐらいあっけなく決着がついてしまいました。
異星人系の話って面白くないのが多いんですよね。
クリスタルスカルの帝国は、インディジョーンズ作品の汚点ですが、
シドニー行き714便もタンタンの汚点です!
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第23作タンタンとピカロたち(Tintin et les Picaros)
サンテオドロス共和国の政権を取り返したアルカサルが、またしてもタピオカ将軍に政権を乗っ取られますが、今作で最後の決着がつきます。
名前だけは度々出てきたタピオカ将軍もようやく顔が出てきます。
加えて、酒好きのハドック船長に衝撃の展開が!なんと、酒が飲めなくなります!
ビーカー教授が酒を飲めなくする薬を開発して、それをハドック船長に飲ませるのですが、この薬がこのあと大活躍をします。
タピオカ将軍に偽の容疑をかけられたカスタフィオーレ夫人と護衛についていたデュポン・デュボン刑事を助けるために、タンタン達は再びサンテオドロス共和国に行き、アルカサル将軍とピカロ党の仲間たちと協力して国を取り戻す話になります。
政権を取り戻す話なので、銃や爆弾などによる血なまぐさい話になるのかなと思いきや、タンタンはある作戦で、いわゆる無血革命に成功します。
話にスピード感はなかったですが、展開がシンプルだったので読みやすかったです。
第24作タンタンとアルファアート(Tintin et l’Alph-Art)
この作品の制作中に、作者のエルジェがなくなってしまったので、ラフ画などがまとめられた未完作品になっています。
話のポイントとしては
- 贋作を作る組織にタンタンが狙われる
- ハドック船長が再び酒を飲めるようになる
- 敵のボスの正体が、もしかしたら宇宙に連れていかれたラスタポプロスかもしれない?
あと、タンタンが原チャリっぽいバイクで走行している下絵が印象に残りました。
今まで原チャリには乗っていなかったはずなのですごく庶民的な感じがしました。
このタイトルのアルファは、ギリシャ文字のアルファベットで「アルファ(α)からオメガ(Ω)」までで全24文字あります。
本作は24作品目なので、作者のエルジェはどちらにしても最後の作品にするつもりでアルファをタイトルにつけたのではないかと言われています。
絵が付いていたらかなり面白そうな作品になりそうだったので非常に残念です。
全体の感想
初めは、かなり偏った考え方や無理な展開が見られましたが、徐々に国の歴史や数々の乗り物に緻密な化学設定、中には超常現象などの回もあって、子供から大人まで読めるマンガとなっていました。(異星人系は微妙でしたけど)
不満点はただ1つ、国の設定やキャラクターの紹介をもう少し増やして欲しかったです。
準レギュラーの人たちが後の作品に出た時に「これ、誰だっけ?」てなることがしばしばありました。
タンタンの日本語版公式サイトに登場人物一覧がありましたので、リンクを貼っておきます。
図書館の児童文学コーナーで読んでみるのも良いですが、最近だと本屋とカフェが併設している店が増えたので、コーヒーでも飲みながら試しに読んでみるのも良いと思います。
他にはアニメ作品も昔放送していたようなので、機会があれば鑑賞して感想を述べたいと思います。
次回からは、2015夏の旅行後編、パリへ向かいます。
2018/07追記
ムーランサール城のモデルになったフランスのシュベルニー城を訪問しました。
その時の記事はコチラ