KENです。
前回は、サント・シャペル(Sainte Chapelle)の歴史とこの礼拝堂を建てたルイ9世について紹介しました。
今回は、2階のステンドグラスと茨の冠について紹介します。
他の皆さんと同じようなことは書きたくないので、とことん茨の冠ネタで攻めてみました!
狭い階段を登って2階の王の礼拝堂と呼ばれた部屋には、壮麗なステンドグラスの数々があります。
ステンドグラスを紹介するだけだと、キレイだね~で終わってしまうので、ここはあえて茨の冠に絞って紹介します。
茨の冠(Couronne d’épines)について
※クリュニー美術館にあった絵画です。分かりやすいものを選んでみました。
キリストの上にあるプレート「INRI」とは「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」の意味です。
ついでに絵の説明をすると、左が聖母マリア、右が福音書記者ヨハネ、磔を持っているのがマグダラのマリアです。
マグダラのマリアは、元貴族で娼婦にまで身を堕としていました。
キリストに出会い悔い改め、それからはずっとキリストと行動を共にし磔刑にも立ち会いました。
映画「ダヴィンチコード」だと、キリストとマグダラのマリアは結婚し子供が生まれ、その子孫がフランス最初の王朝であるメロヴィング朝の王ということになっていました。
その血族だと言われていたのが、ラングドン教授と行動を共にしていたヒロインでした。(名前忘れた・・・)
ユダヤの王を名乗った罪で裁かれるイエスに被せられた茨の冠は、ローマ皇帝の薔薇の冠をデフォルメしたもので、茨は苦痛と受難を意味します。
茨のトゲが額に食い込んでとても痛いはず(>_<)
聖遺物(英:relic、仏:relique)
茨の冠は聖遺物に属します。
聖遺物とは、キリストや聖母マリアや他の聖人に関わる遺品などのこと
聖遺物には特別な力を意味する「ウィルトゥス」が備わっています。
聖遺物は常にウィルトゥスを発しているので、聖遺物を納める容器もパワーを宿して聖遺物化するらしいです。
うん、胡散臭い!
聖遺物にはランクが存在して第1~3級があります。
- 1級は聖人の遺体や骨等
- 2級は聖人が触れたものや見にまとったもの
- 3級は聖人のサインとか・・・
ただし、キリストにまつわるアイテムは別格扱いとされています!
つまり、茨の冠は超1級です。スマホゲーで言えば、URかな?
- キリストの脇腹を刺したロンギヌスの槍
- 体を打ち付けた釘
- 腰布に張りつけられた柱
なども聖遺物としてみなされました。
他にも、キリストが初めて書いたアルファベット、自筆書簡、昇天の折に残した足跡などもあったそうですが
うん、超胡散臭い!
旅行の前半戦で訪れたベルギーのブリュージュでは、キリストの血が納められた聖血礼拝堂を訪れましたのでそちらの記事も参照ください。
ツッコミどころはただ1つ
ランク付けとかする時点で金絡んでるよなー💰
実際、茨の冠は超高価買い取りでした。
茨の冠の話で盛り上がったので、冠を見てみたいと思われた方もいらっしゃると思います。
しかし、茨の冠は現在サントシャペルにはありません!
冠を納めた金の箱(100000リーブル!)がフランス革命の際に溶けてしまい、1806年8月10日にノートルダム大聖堂の宝物殿(trésor)に収められています。
ですので、この後ノートルダム大聖堂に茨の冠を見に行く予定です。
茨の冠のステンドグラス
日本語で書かれたラミネートコーティング状の解説書が2階の隅っこに置かれているのでステンドグラスの詳しい情報が知りたい方はそちらを参照してください。
茨の冠をかぶせられるキリスト
正面の祭壇の上にあります。
キリスト受難の聖遺物の物語:茨の冠の提示
正面から見て一番右側にあります。
聖遺物トリビューン(祭壇)
祭壇の左右に小さな階段があるので、登った先に茨の冠を収める聖遺物の箱が置かれていたそうです。
6人の天使はキリスト受難にまつわるアイテムを持っていて、上の2人が持っているのが茨の冠です。
外からバラ窓を見た時の左側の小塔
無理やり拡大したので画質が荒いですが、上のトゲトゲしたのが茨の冠で、下側の部分にフランスの王冠が施されています。
お土産&トイレタイム
お土産屋さんは1階にあります。ただでさえそれほど広くないところに店があるので買うのに一苦労しました。
ここでは、ルイ9世が参加した十字軍とおぼしき絵柄のペーパーウェイトを購入しました。
また、礼拝堂内部にはトイレがありません。
礼拝堂を出てすぐのところにトイレが1カ所あったのですがそこは閉まっており、結局出口の柵のすぐ手前の所にあるトイレを借りました。
感想
実は以前にも来たことがあって今回2回目だったのですが、前回は人がほとんどおらず静かに鑑賞できました。
今回は特にアジア人の団体さんが増えてステンドグラスは見づらいしお土産屋さんも大混雑で大変でした。
後から調べて分かったのが、2階の像はキリスト12使徒のメンバーであったり、銅像横の4つ葉の形をした窓には聖人の殉教シーンが描かれているそうです。
ステンドグラスにどうしても目が行ってしまうので気づきませんでしたが、機会があれば再度見てみたい気はしています。
次回はノートルダム大聖堂へ向かう前にお隣のコンシェルジュリーを紹介します。