フランスその32(パリ編PART9)【貴婦人と一角獣の小説を読んでみた前編】

Le goût

KENです。

前回は、クリュニー美術館(Musée de Cluny)に入って、真っ先に2階にのぼって6枚のタペストリー「貴婦人と一角獣(La Dame à la licorne)」を鑑賞し撮影をしました。

今回から、タペストリーを元にした小説「貴婦人と一角獣(the LADY and the Unicorn)」について、前編・後編で紹介します。

※アイキャッチ画像は、タペストリー6枚のうちの1つ「味覚」

女性の右手が食べ物を掴んでいるので味覚と。

作者は、小説家のトレイシー・シュヴァリエ(Tracy Chevalier)です。

画家フェルメールの「真珠の耳飾りの少女(Girl with a Pearl Earring)」をもとにした小説が有名だそうです。

フェルメール作品は、ルーブルにある「レースを編む女」「天文学者」くらいしか知りません。

あと、世に出回っているのが30作品程度しかないことは知っています。

ツッコミ担当

絵画1枚の値段が気になる👛

トレイシー・シュバリエの公式ページにこの本の紹介やタペストリーに関わってくるヴィスト家の歴史等が説明されているのでこちらも参考にしてみてください。

 

人物紹介

主人公はイケメンで女好きの若手絵師ニコラ・デジノサン(Nicolas Des Innocents)です。

章ごとにニコラ以外のキャラクター視点で話が進みます。

ですので、重要人物の中でタペストリーのモデルになった女性だけ簡単に紹介しておきます。

ジュヌヴィエーヴ・ド・ナンテール(たったひとつの望み)

クロードを含めて3人の娘を生んだが、世継ぎになる息子が生まれず、夫との関係も悪化しており、修道院の尼さんになろうとしています。

ニコラは、タペストリーの貴婦人が首飾りを外しているのかこれから着けるのかをあいまいにします。

「ユニコーンを誘惑する女性」

または

「首飾りを外して女性を捨てる」

とどちらの意味とも取れるように絵をデザインします。

クロード・ル・ヴィスト(味覚)

タペストリーの1つ「味覚」のモデルです。男に興味深々の元気な14歳。

屋敷であったニコラに一目惚れして、深い関係になりそうなところをあと一歩のところでとめられてしまいます。

ニコラは、薄荷(ミント)を食べている様子と好きな鳥であるインコをモチーフに味覚の絵をデザインします。

ストーリー開始

時代は、タペストリーが作られる1490~1492の約2年間。

主な舞台はクリュニー美術館近くにある、サン・ジェルマン・デ・プレ教会と道を挟んだフール街(Rue du Four)にあるヴィスト家の屋敷とブリュッセルのタペストリー工房になります。

ニコラが、ヴィスト家の当主ジャン・ル・ヴィスト(Jean Le Viste)から大広間の壁に掛けるタピスリーの元絵を作るように依頼されるところから話が始まります。

この時点ではナンシーの会戦という戦いの絵のはずでした。

そのあと、ジャンの妻ジュヌヴィエーヴから貴婦人と一角獣に変えてほしいと要望があります。

ニコラは、ジュヌヴィエーヴと一目惚れしたヴィスト家の娘クロード等をモデルにして貴婦人と一角獣のタペストリーを作成していく話となっています。

ニコラは貴婦人と一角獣の図案を作り、タペストリー作りのレベルが高いブリュッセルにおもむき、具体的な製作に入ります。

ちょっとした感想

ちょうどパリとブリュッセルの両方を旅行したばかりなので、Googleマップを見ながら、小説の舞台がどのあたりか確認しながら本を読みました。

サン・ジェルマン・デ・プレ教会の鐘の音が鳴るシーンがしばしば出てくるので、クリュニー美術館と教会付近の地図を見ておくといいかもしれません。

あと、人物や歴史設定はしっかりしています。

ヴィスト家の人々は実在しますし、タペストリーが実際に作られたのは1500年前後でブリュッセルかブリュージュで作られた可能性が高いそうです。

次回は、話の中盤ブリュッセルのタペストリー工房と全体の感想を述べます。