KENです。
前回は、サン・シュルピス教会(Église Saint-Sulpice)の歴史を紹介しました。
今回は、教会内にあるドラクロワの3種類のフレスコ画について説明します。
アイキャッチ画像は、3つのうちの1つ「悪魔を倒す大天使ミカエル(Saint-Michel terrassant le Dragon)」
大天使ミカエルと言えば、
- 金色の鎧と剣
- 最後の審判で、罪の重さをはかる天秤
を持っていることが多いですが、槍でドラゴンに姿を変えた悪魔を倒す逸話もあるんです!
今回の旅行で、
ブリュッセルのベルギー漫画センターにある民衆を導く自由の女神のパロディ
リュクサンブール公園と宮殿には、ドラクロワの銅像と天井画(両方とも見てないけど・・・)
等、ドラクロワの話が度々出てきました。
ですので、サン・シュルピス教会でもドラクロワについての説明に焦点を当てます。
ドラクロワ(Delacroix)
一番有名な絵画が「民衆を導く自由の女神(La Liberté guidant le peuple)」です。
現在、ルーブル美術館に展示されていますが、一時期別館であるルーヴル・ランスに貸し出された時にフェルトペンで落書きをされてしまう事件が発生しました。
まあ、絵の表面にニスが塗ってあったおかげでその奥の絵の具まで染み込まずにすんだので、1日で修復されたそうですが・・・
さて、サン・シュルピス教会には、入ってすぐ右手にあるサン・ザアンジュ礼拝堂(Chaplelle des Saintes Anges)にドラクロワのフレスコ画が3作品あります。
ヤコブと天使の闘い(La lutte de Jacob avec l’ange)
※キリストの十二使徒の中にもヤコブはいますが、別人です。
ヤコブについて簡単に説明します。
ヤコブは、長男エサウが受けるはずの族長権を奪って叔父の家に逃亡します。
具体的には、エサウが狩りから空腹で帰って来たところで、ヤコブが煮物の食事と引き換えに父親死後の族長の権利を譲れと取引したそうです。
ずる賢い!
ヤコブは逃亡中に、天使達がハシゴの上り下りしている夢を見ます。
そして、ヤコブとその子孫が祝福する神の声を聞きます。ヤコブのハシゴと呼ばれているワンシーンです。
その後、叔父の次女ラケルと結婚し子を生みます。
逃亡してから20年がたち、「財産も十分に出来たし、ほとぼりも冷めただろう」と考えたヤコブは帰郷を決意します。
家族をヨルダン川の向こうに先に渡らせ、ヤコブ1人だけで夜を迎えると、突然何者かが襲ってきて、取っ組み合いになります。
その時の様子がこの絵になります。
結局、天使は降参してヤコブに「あなたは神の代理である天使に勝ったのだからイスラエル(神を倒し者)と名乗りなさい」と言ったそうです。
余談ですが、ヤコブのハシゴを再現したファサードがイギリスのバース寺院にあります。
悪魔を倒す大天使ミカエル(Saint-Michel terrassant le Dragon)
以前ブリュッセルの記事で紹介したので、興味のある方はどうぞ。
神殿を追われるヘリオドロス(Héliodore chassé du temple)
紀元前2世紀のユダヤは、ギリシア系のセレウコス朝の支配下に置かれていました。
当時のユダヤには王権が存在せず、大祭司がユダヤの最高位にありました。
ユダヤの大祭司オニア3世は敬虔で優れた人物でしたが、神殿総務庁シモンと衝突します。
シモンは、セレウコス朝のギリシアの総督アポロニオスに、エルサレム神殿に莫大な財宝があると密告します。
これを知ったセレウコス4世は、ヘリオドロスをエルサレムへ派遣して、神の民のために蓄えられた神殿の宝物を没収しようとします。
ヘリオドロスが神殿内部に向かうと、輝かしい馬具で飾り立てた馬に乗った金の鎧の騎士とマッスルな天使2人が現れます。
- 鎧の騎士が乗っている馬はひづめを使って
- 天使たちはムチを使って
ヘリオドロスをフルボッコにします。
ヘリオドロスの腹心の者たちは慌てて、大祭司オニア3世にヘリオドロスを助けるよう嘆願したという話です。
エルサレム神殿にどれだけの財宝があったのかもの凄く気になるところです。
次回は、サン・シュルピス教会を出てしばらく買い物タイムとしゃれこみます。